こんにちは、haggyです。
前日、大きな街・ログローニョで友達と楽しい夜を過ごしたものの、やはり疲れを癒すのに距離を短くすることに決めた私。
しかし思いもよらぬ出来事により、想像していたのとは全く違う1日となったのでした。
一体なにがあったのでしょうか。
今回も巡礼でのお役立ち情報を含めて振り返っていきます。
スペイン巡礼を経験して
これまで自分が人に助けてもらうなんて「甘え」だと思っていた。
でも見返りを求めない優しさがそこらじゅうにあった。
そして私はポンコツすぎた。。。
2025年5月~6月、スペイン巡礼にてフランス人の道を歩きました。
フランスのサン=ジャン=ピエ=ド=ポーからスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラまで、その距離約780km以上。
日々限界を超えて歩いていくなかで、多くの失敗をし、泣きたくなる出来事に遭遇し、でもそれ以上の喜びと楽しさ、感動を味わいました。
毎日が宝物のような日々。
人生観すら変える旅だったからこそ、日記では嘘偽りなく全てをぶつけたい。
汚い体験・嫌な思い出・準備不足だったことも全て包み隠さず。
・海外旅行の体験談を読みたい方
・スペイン巡礼がどんなのか知りたい方
・スペイン巡礼をしようか迷っている方
が楽しめて参考になるように日記を綴っていきます。
▼これまでの日記を読む▼
この記事でわかること
スペイン巡礼日記⑨ | 8日目、短いはずの一日が忘れられない29kmに
朝方まで騒がしかったログローニョ。
完全に寝不足だったけど、「今日は距離を短くするから少し朝ゆっくりでもいいや。でも、う~ん...」とまだ距離を短くすることに若干の迷いが。
でもその迷いはこの後すぐに起こる出来事で、完全にふっきれることになる。
ピー音でガマンの限界に
酔っ払いがウェイウェイ騒ぐ声が朝方まで続き、目が覚めてもベッドでゴロゴロしたかった朝。
これまで早起きな方だったので、朝のトイレも洗面台もあまり混まなかったんだけど、この日はいつもより起き上がるのが遅く、少し混み合っていた。
前日の日記にも書いたが、シャワーやトイレは男女共用。
洗面台で洗顔をしていたら、寝起きのおじさんがトイレへ。
すると「ブスー!!!ブピーッ!!ピッ!!ビシャー!!!ブシャー!!!」というけたたましいピー音が聞こえてきた。
これまでもアルベルゲで屁の音は聞こえてきたけど、これはエグかった。
共用のバスルームなのだから仕方ない。
イヤならホテルに泊まればいい話。
それはわかってはいる。
でもこれまでホテルにしか泊まったことのない私にとって、他人のそういう類の音は聞いたことがなく驚いた。
ましてや疲れと寝不足が溜まっていた状態。
あの音を聞いた瞬間、心も身体も休めようと決めたのだった。
別れ
身支度をしているとき、スロバキア人Mくんと話した。
Mくんといえば、エステーリャの夜に色んなことを話し、前日の夜はアイスを食べた仲間だ。
距離を短くすることを伝えると、少し残念そうな顔をしてハグしてくれた。
「俺は29km歩くから、これが最後だね」という意味の別れのハグ。
彼はめちゃくちゃイケメンなのだけど、イケメンとのハグに喜んでいる場合ではなかった。
別れが寂しくて泣きそうになった。
これが過去にみんなが言っていた「レストしたいけど、そうしたらこの仲間と離れてしまう。それが寂しい」ということ。
本当に寂しかった。
これから先もステキな仲間に出会えるだろうか。
再会と耳を疑う親切
別れを引きずりながらもアルベルゲを出発。
AM6:45。
これまでよりも遅めの出発だ。
でもいいんだ。今日は短い距離だから。
しかしログローニョを抜けない段階(つまり歩き始めて間もない)で、疲れてしまった。
距離を短くしたから楽できるとかそういうものではないようだ。
「でもいいや。今日は短い距離だし、休憩多めに取りながらゆっくり行こう」
そんな風に考えて、ベンチで休憩。
するとスロバキア人Mくんとオーストラリア人女性Cさんがそろって登場。
さっきあんなしんみりした別れをしたはずなのにもう再会しちゃった。
そして私を見たMくんはとんでもない提案を申し出てきたのだ。
「そのリュック持つから貸して?」と。
ポイント
1日目の日記でも書いたが、私はバックパックの他に日常で使う物を入れるためのリュックを持ってきており、後ろにバックパック・前にリュックと前後に背負っていた
いやいやいやいやちょっと待って。
ダメ、絶対。
重いし、疲れているのはみんな一緒。
そんな負担を強いることはできない。
それに荷物が重いのも、私が極端に疲れているのも自己責任だから。
そんな私の勝手で迷惑はかけられないし、かけたくない。
必死に断るも、「大丈夫、これくらいなら余裕。ね、次の休憩まで持たせてよ」と言ってくれたのだ。
「もう、自分のせいで本当にごめん!そしてありがとう!!」と何度も言いながら前に背負っているリュックを預けた。
そしてMくんはそれを前に背負って歩き始めた。
なんてことだ。
申し訳なくて、情けなくて、でもここまで親切にしてくれる人がいるなんて。
色んな感情が沸き起こった。
しかし同時に気付いてしまった。
バックパック1つだけってなんて楽なんだろうと。
そりゃそうだ。
背中と前に相反する力がかかり、首・腰・背中の筋肉がずっとバランスを取ろうとして緊張し続けるため、すぐに疲れてしまっていたのだ。
さらに重心が前後に分かれてしまうことで、足の筋肉に余計な負担がかかり、疲れやすくなる。
注意ポイント
きっといないと思うけど念のため。
前後に荷物を背負うのは本当にやめた方がいい
そして3人で話しながら歩いていると、ロス・アルコスや前日夜にアイスを食べたフロリダギャルSさんと、チェコ人男性Mさんと合流。
チェコ人男性Mさんははじめまして。
初日から何度もすれ違い「Buen Camino」と挨拶はしてきたけど、話すのは初めて。
彼もまた、私の巡礼旅を語るにはなくてはならない存在となる。
スロバキア人Mくんとチェコ人男性Mさんが一緒に、オーストラリア人女性CさんとフロリダギャルSさんと私が一緒に話しながら歩いていく。
楽しく話していくうちに、「これは行けるかも」と思い始めてきた。
距離を短くしなくても29km歩ける気がした。
途中、スロバキア人&チェコ人男性コンビが私たちよりもはるか先を歩いていく。
それでもオーストラリア人女性が連絡先を知っていて、はぐれても待っていてくれるから大丈夫だと。
あ、でも待って。
Mくんが背負ってる私の荷物に、ノートPC・モバイルバッテリー・財布・パスポート、全ての貴重品が入っているんだよね。
待って~私の貴重品!!!
みんなで笑いながら歩いたのだった。
普段なら鉄壁のガードで貴重品を守っているのに、彼らは不思議と信頼できた。
コーヒーブレイク
途中通ったワイナリー。
看板が巡礼仕様。
天気もよく、これまでよりも歩きが断然楽。
話ながら楽しく歩いているうちに、ナバレテという街に到着。
歩いた距離12.4km。
私が今日のゴールとして見据えていた街だ。
小刻みに休憩を挟みながら歩こうとしていたのに、気づけば休憩はMくんとCさんと会ったときにしていた1回だけ。
一緒に歩き始めてからは辛さを感じずに来れた。
先に進んでいたスロバキア人&チェコ人男性コンビが街の入り口で待ってくれていた。
彼らは目ぼしいカフェを見つけていて、一緒に行った。
Mくんのおかげで私の巡礼旅はだいぶ楽になった。
この出来事がなかったら私の旅はもっと過酷で、もっと退屈になっていたと本気で思う。
ゴールまでの日数ももっとかかっていたはずだ。
彼には本当に感謝しかない。
荷物を一つに
待ちに待ったコーヒーブレイク。
Mくんにお礼を言い、ついに荷物を1つに。
ノートPCにヒビが入らないか心配なところではあるが(結局帰国までヒビは入らなかった)、ギュウギュウに詰めたらバックパック1つにおさまった。
日焼け止めを塗ったり、持参したハムや溶けかかったチョコなどを配ったりしてのんびり過ごす。
そういえば仲間と休憩したのはこれが初めてかもしれない。
3連単的中
ちょうどコーヒーブレイク中、日本ではヴィクトリアマイル(GⅠレース)が開催。
私は前日のログローニョで楽しみすぎて考える暇がなく賭けなかったんだけど、日本にいる夫から「3連単当てた!」と連絡が。
我が家ではどちらかが的中した場合、当たった額から掛け金を引いた額を半分こするという掟がある。
というわけで1万円以上をGET。
「夫が競馬当たった」と言ったら、みんなが「マジ~?すごいじゃん」と喜んでくれた。
お互いの国の競馬事情なんかも話題にあがり、まったりとした休憩タイムを過ごした。
そして休憩タイムが終わり、再び歩き始める。
当初の予定だと、私はこのナバレテに泊まろうとしていた。
だからみんなとはここでお別れなはず。
けど私は一緒に歩き始めた。
「荷物を1つにしたらだいぶ楽になった。皆とナヘラに行く!すごく楽しい!」と言ったら「I'm proud of you」と満面の笑みで喜んでくれた。
出会って間もないのに、一緒に苦楽を共にする仲間ができたことが嬉しかった。
行ける。今まで私は何をこだわってカバン2個持ちで歩いていたんだろう?
重さ自体は変わらないけど、1つにまとめたことで身体がめちゃくちゃ楽になったぞ。
これで私も人並みに歩ける。
疲れているけど行ける。
もう気持ちはナヘラへと向かっていた。
スロバキア人&チェコ人男性コンビが持ってきたビールを飲みながら、さらに休憩。
ビールは常温。
だけど大自然の中で仲間と飲むビールは格別の味だった。
〇ん〇ん
この日一緒に歩いたのは、スロバキア人&チェコ人男性コンビ、オーストラリア人女性Cさん、フロリダギャルSさんの5人。
ただ5人一緒に話しながら歩くということはあまりなく、2人+3人で話しながら歩いたり、誰かが家族と電話しながら歩いているときは4人で歩いたりと自由な感じで歩いた。
そしてスロバキア人&チェコ人男性コンビと歩いていると、おもむろに彼らは日本語で「ち〇ち〇(chin-chin)」と言い出した。
「ちょっと待て、誰がその言葉教えた?まさかRくん(札幌出身)?」と聞くと、満面の笑みで頷く。
念のため意味はわかってるか聞くと、もちろんとニッコリ 🙂 。
お互いの国の下ネタを教え合い、笑う。留学時代を思い出した。
いつの時代も国際交流の鉄板ネタは下ネタなのだな。
というかRくんはそういうキャラなのか?そうは見えないけど。
一気にRくんに親近感が湧いた。
彼らはとても勉強熱心で、「もっとそういう日本語を教えてくれ」と言われた。
というわけで、次Rくんに会ったら「You're HENTAI」って言うよう教える。
そして私はスロバキア人Mくんが言う「chin-chin」の発音が大好きになった。
少し好奇心を纏わせたその発音が可愛くて仕方なくて、何度も言わせたくなった。
彼らの発音や声のトーンにいやらしさはなく、むしろ小さい子が面白がって言っているのと同じように見えた。
APT.
そしてお次は女性陣と歩いた。
彼女たちは若くピュア。
もちろんchin-chinは封印だ。
どこまでも青い空と緑が気持ちいい。
ブドウ畑を通過。
どうしても「ワイン畑」と言ってしまう。
彼女たちとは好きな音楽の話で盛り上がった。
皆知っている歌はSpotifyでかけて一緒に歌いながら歩く。
中でも一番盛り上がったのは、ロゼとブルーノ・マーズのAPT.だ。
それぞれノリノリでリズムを取りながら歌う。
なんて青春なんだ。
一人ずば抜けて年上の私にとっては、彼女たちとのこの時間はまぶしくてキラキラした時間だった。
これまで一人で自分と対話していたけど、人と並んで歩けるってなんて楽しいんだろう。
足は疲れているのに、音楽を聴きながらリズミカルに歩ける。
楽な29km
ランチタイムは草原にポツンとあったベンチとテーブルで。
チェコ人男性Mさんが持ってきたバゲットと生ハム、トルティージャを挟んだサンドイッチを作ってくれた。
ハンドナイフで起用にハムやパンを切る姿が手馴れていた。
実は彼の職業は料理人だと翌日知ることになる。
オーストラリア人女性Cさんが、花をくれる。
むしろ気づいたらバックパックに花がついていた。
全く気付かなかった。
可愛いイタズラにどれだけ癒されたことか。
これまで皆が言っていた「レストしたいけど、みんなと離れるのは嫌だ」という言葉。
あの頃は「気持ちはわかるけど...」という寄り添いの同意の気持ちだったが、今なら激しく同意できる。
この日29kmを歩けたのは、まぎれもなく仲間たちのおかげだった。
あのときスロバキア人のMくんが荷物を持ってくれなかったら、これから始まる仲間たちとの最高の時間がなかったと思うとゾッとするほどだ。
仲間と歩けたのが嬉しくて、日本にいる夫にビデオ通話。
仲間を紹介したくて、皆の顔を画面に映す。
夫が挨拶すると、スロバキア人のMくんに「chin-chiiiin」と言われていた。
初対面で下ネタ言われる夫が面白すぎるが、夫も留学経験者。
こういうノリはお手の物だ。
歩きながらビデオ通話って、データ通信量大丈夫?と思うかもしれない。
過去の日記でも紹介しているが、HolaflyのeSIMはデータ通信が無制限だからWiFiとか気にせずビデオ通話ができる。
さっきのAPT.も使い放題だったお陰で、気にせず再生できた。
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アルベルゲではWiFiが激弱なところもあったので、ストレスなくネットを使うならHolafly一択だと思う。
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参考スペイン巡礼インターネット事情~WiFiはある?SIMは必要?~
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アルベルゲも一緒
「ただでさえ疲れた身体で27km歩いた翌日に29kmなんて歩けるわけがない」と思っていた。
でも結局みんなとナヘラにたどり着けた。
アルベルゲの電話予約
時間は16時近く。
みんなにアルベルゲは予約しているか聞くと、していないと。
心配性の私はベッドの確保ができるか不安になってくる。
さすがに29km歩いたし、楽しかったと言えど身体はクタクタだ。
アルベルゲを順番に当たっていく体力はない。
それは皆も同じなようで、チェコ人のMさんがアルベルゲに電話をしてくれた。
なんと彼はスペインのバルセロナで働いていた経験があり、スペイン語が話せるのだ。
1軒目は満室、2軒目で5人分のベッドを確保した。
ベッドが確保できたことも安心。
そして、みんなともう少し長く過ごせることにも安心とワクワクがあった。
トイレの電気事件
突然だが、私はトイレが近い。
ただでさえ近いのに、「近いかも」と意識すると何度も行きがちになってしまう。
幸い巡礼中は緊張していたせいか、トイレ問題に悩まされることはなかった。
ところが仲間と楽しく歩いていたらすぐ本性が出てきてしまった。
けっこうガマンの限界なところまできていた。
▼宿泊したアルベルゲ
アルベルゲでは前のグループ(顔見知りの韓国人)が受付中で、エントランス付近で待つことに。
すると受付近くにトイレが!
間に合ったことに安堵し、トイレを出るとホスピタレイロがやや大きめな声で「トイレの電気を消し忘れてるよ!」と。
あらうっかり。
家でもよくやるんだわ。
というわけでトイレの電気を消したんだけど、そのやり取りが面白かったのか、韓国人グループがめちゃくちゃ笑ってる。
それに今日一緒に歩いた他のメンバーも笑ってる。
え、なに?たったこれだけのことがそんな面白い?
これくらいじゃ日本の友達は笑わないよ?
もしかして君たちめちゃくちゃ笑い上戸なの?
と???状態。
韓国人グループが笑っていた理由はわからないが、一緒に歩いたメンバーは「それくらいのことで大声出すなんて」と私にではなくホスピタレイロに笑っていたようだ。
さらに洗濯する部屋の壁には「洗濯時はお湯を使うな。水を使え」と書かれていた。
これも彼らには面白かったらしく、「うちらが泊っているアルベルゲはね...」とトイレの電気事件とセットでみんなに言っていた。
ちなみにこの日、札幌出身のRくんは公営のアルベルゲに宿泊していたが、シャワーのお湯が出ず水シャワーだったらしい。
6人部屋
部屋は6人部屋だった。
0日目を除くと、これまでで一番少人数の部屋。
予約したメンバーは5人でベッドが1つ空いていたが、誰かが来ることはなかった。
仲良い人だけで泊まれるのは気が休まる。
お決まりのシャワー&洗濯を終え、皆でスーパーへ。
スマホのレンズを拭く元気もなかったけど、ナヘラの教会。
ここでフロリダギャルSさんは、「私は外食したいからまた後でね~」と別行動。
チェコ人Mさんは別のスーパーへ行きたいからと別行動。
縛られることなく、思い思いの行動ができるのが心地よい。
川沿いのディナー
この日はスーパーでパンやハム、チーズ、お酒を買い川沿いで食べることに。
日本では服が汚れるとか、居酒屋で焼き鳥食べたいとか、虫がイヤだとか理由をつけて川沿いでは食べないけど、ここでは気持ちがいい。
別行動していたチェコ人男性Mさんがビールを買い込み戻ってきた。
皿やコップなんてない。
プエンテ・ラ・レイナの団らんで喋ったイタリア人女性のIさんが合流し、サンドイッチを食べる。
入れ替わり立ち代わり、色んな知った顔の人がサンドイッチやビールを楽しむ。
「お金払うよ」なんて言葉は出てこない。
むしろ気にしているのは私くらい。
前の日に買い余ったバゲットやハム、チーズなども混じっており、誰一人お金の計算をしようとしない。
少し多めに払おうとしたが、むしろなぜ払うの?と。
彼らといるときはそういうことが多かった。
全てがどんぶり勘定だった。
いや、むしろ勘定をしていない。
川沿いでのんびりしながらサンドイッチとビールを楽しむ。
この日の夜はまるで青春の1ページのような夜だった。
スロバキア人男性Mくんがリュックを持ってくれなかったら、この日ナヘラにはいなかった。
私にとって、間違いなく旅を彩る分岐点となる日だった。
そして翌日、彼らと最っっ高の夜を過ごすこととなる。
翌日の日記もお楽しみに!
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